今日ようやくワクチン二回目を終えた。今のところ症状はほとんどないが、以前同様、肩の筋肉痛だけで済みそうだ。さてこのところの近況はというと、ここ丹波市から引っ越すことになってしまった。6月からたったの5カ月での引越しは、偏に妻の妊娠という奇跡的なイベントによっての帰路である。人生一貫して落ち着くことを知らないと、バタバタしていること自体がデフォルトと化していることに気付く。
引越し先は再び京都府南部。実家も遠くなく、徒歩でスーパー、コンビニ、モール、どこにでもいける。産前産後の環境としても申し分ない。ただ今住んでいる家にあるものを自前で動かすことを考えるとため息が漏れる。特に杉の無垢材で敷き詰めたフローリングをばらす作業や、レンタルでトラックを借りて大型家電を載せていく作業など・・・。キャンプ場での肉体労働で鍛えられたと思いきや、特段腕力が増したわけでもない。
そのキャンプ場だが年内中(いや、もっと早く)には雇用形態に関してはっきりさせなければならない。業界を通ってきた人間としても、アルバイトでいつまでもやっていては筋が通るまい。なにより子供ができたとなれば社会的圧力は増す一方である。「ちゃんと」働く。嫌いな言葉だが選択の余地は無かろう。
さてそんな状況においてもーディオに関しては抜かりない。良い音に埋もれる喜びに触れない人生に何の意味があろうか(無論人それぞれである)。現在メイン使用のDENONのPMA-S10だが、これにはもう一ランク上の機器がある。

そう、PMA-S1である。こいつをあるルートから入手し、メンテナンスを完了させた。ボリュームにガリが少々あるが、リレーも問題なさそうだ。20数年放置されていたとは思えないほど元気に鳴っている。なによりこの造形が素晴らしい。そして無論音もS10からさらに広域~低域のレンジが広がり、なおかつ各域においての音が一つ一つしっかりと鳴らされている。
手元にあるStereoSoundの雑誌には当時のS1について掲載され、そこには大きく「原音回帰。」と記されている。しかし個人的にこのアンプに関して「原音」というより「ボリューミーかつ繊細、そして確実」という印象を受ける。原音を追い求めるといえばオーディオテクネを思いつくが、確かインタビューで愛用者が「初めはなんだか物足りないような気がしたんだけれど、聞き込んでいくと『やっぱりこれが本当だよな』」と言っていたことを思い出す。
本当の音はまさに原音しかあり得ないわけであって、つまり生以外にあり得ない。いわゆるオーディオ好きはつまるところ「己が好きな音を追い求める」わけで「原音を追い求めている」わけではない。そこにきてこのアンプは少なくとも掲載されているような「原音」ではない。
ただこれはリソースとスピーカーにもよる。リソースはハイレゾデジタル。因みに試したスピーカーは1000M、DynaudioのDM2/6、Excite X16、C1、そしてTANNOYのRevolution R1である。もっとも中立であろう1000Mに関してはいまいち。音量を上げると高域がうるさくなってしまう。これはアッテネータで調整は可能ではあるが。
Dynaudioに関しては、我ながら中々豪華なスピーカーが並んでいる。特にC1に関しては愛称は抜群で、あの鳴らしにくいC1で、普段聞いている曲の今まで聞いたことのないようなトンデモナイ低域を平気でしっかり鳴らしている。ただ出ているのではなく、包み込むのだ。父がLINNのKlimaxで鳴らしていた時にこんなゴージャズに鳴ってはいなかったと思うので、これは迫力性を求めるなら透明性のLINNよりこっちがいい。
TANNOYに関しては所詮ブックシェルフではあるが、いわゆるタンノイの本来の音に最も近いのがこのRevolutionのRシリーズ三つ。ただPMA-S1にはランク負けしてしまい、S10の時とあまり変化は見られなかった。しかし11月頭にはなんと、どこを探しても見つからなかったR3(フロア型)が手に入るのである。これが楽しみで仕方がない。ただS1とS10の違いをそこで見られるかに関してはわからない。R3の可能性に掛ける。
結論、S1はさすが当時のDENON最高峰のアンプだけあって、保持スピーカーのほとんどがランク負けしてしまった。唯一C1はこのアンプの底力を感じ取れるスピーカーであった。っとまあ、あくまで個人的な感性の中のお話なのだが。